受講者側面から考える研修のやりっぱなし問題とは
株式会社ウーシアでCMOを務める杉村です。先日第一弾のブログに続き、今回は「受講者」「上司」「人事」の3つの側面のうち「受講者」の側面から考える研修のやりっぱなしについて考えていきたいと思います。
忙しい(から忘れる)
研修受講者に「なぜ実践しないのか」と聞いて出てくる言葉が、これではないでしょうか?研修アンケートなどでも実際に多く聞かれます。 忙しいから学んだことを振り返えらずに、一定の時が経つと何を学んだのかの詳細を忘れてしまい、現場で活用しようにも実行できない、というのが多くの方にとっての現実ではないでしょうか?
エビングハウスの忘却曲線から見ても、1週間も経つと、学んだことを思い出し実践することは困難であると容易に想像できます。 ということは、学んだことを忘却する前に、自分の仕事の文脈に落とし込んで「実践すること、すべきこと」をクリアにしながら進めて行くという道筋を設ける必要があるということになるでしょう。
ところが、「学んだことを活かさないのはなぜ?」と聞くと「できるならやってますよ」という答えが多く帰ってきます。
「なんでやらないの?というのはそんな簡単な話じゃないのだよ」ということだと思います。 「分かると、できるは異なる」とよく言いますが、研修で習うだけでは十分な理解に至るのは容易ではない、ということを改めて考えておく必要があると言えます。
つまり、実践が難しいという問題は「研修受講」だけでは解消できない構造的な問題と認識しておくべきです。
従来に戻ってしまう
仕事はどのようなやり方で取り組んでも全くできない、とはならないものです。自分なりのやり方でもそれなりの結果にはなるということであり、ゆえに馴染みのない新しいやり方を採用する方が短期的には負担が大きくなったりするものです。 例えば、ロジカルシンキングを一度体得した人は、それなしで仕事をするのは難しいと感じるでしょう。ただし、最初は実践しようとすることで却って時間がかかったというのが一般的だと思います。
経路依存という考え方がありますが、人間は基本新しいことを取り入れるよりも、それまでやってきたことや、やり方を続ける方を選ぶ傾向にあります。短期的にはその方が合理的な選択とも言えます。やりっぱなし問題を考える上で、こうしたことも前提として組み入れておくことは非常に重要です。
次回以降は、上司側面、人事側面から考えた「研修のやりっぱなし課題」についても考えていきたいと思います。
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まとめ
- 受講者側面でのやりっぱなし課題の要因としては、学んだことを忘却する前に実践し習慣化できない
- 実践が難しいというところが「研修」だけでは乗り越えられない。
- 学んだことが定着する前に従来のやり方に戻ってしまう(経路依存)